2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「ドイツの脱原発がよくわかる本」川口マーン恵美著(草思社、'15.4.22)

日ごろ国内外を跋扈している「反原発」の潮流にどこかうさんくささを感じてた矢先に<日本が見習ってはいけない理由>という副題のついた本書に接し、大いにわが意を得る思いがした。 30年以上ドイツに住んでいるという著者の本は、以前『住んでみたドイツ…

新詩帖5

狂う女の日記 狂ったのだわ、妾(あたし) 魔法の鏡が 千々に砕けて散乱するように 妾の生肝に棲む生暖かい魂蟲が 千々に裂き千切れ飛んだのだわ 今朝の食卓で 砂糖にたかる蟻を集め食べていると 尻の下の古畳の目を抜いて 雨後の筍がニョキニョキと 飛び出…

新詩帖4

白い花 匂う 匂うよ 白い花が ニセアカシアの白い花が 遥かなる記憶の中で 見える 見えるよ 遥かに佐渡が 日本海の没日が その幻が こんなに汚れきる前の 僕の魂の在りようが 故郷の時空の総量が その幻の記憶が 今も僕の胸を狂おしくする さて 今日僕は 桜…

「基本は誰も教えてくれない日本人のための世界のビジネスルール」青木恵子著(ディスカヴァー、'15.2.20)

著者は、故ロッキー青木氏の妻で、「ベニハナ・オブ・トーキョー」の経営者(CEO)である。 今日(4月16日)、ある講習会に出席するため国分寺駅へ赴いたが、駅にやや早めに着いたので、時間つぶしに伊国屋書店国分寺店を覗いた際にこの本と「マッキンゼー流…

「日本の医療格差は9倍」(上昌広著、光文社新書、'15.2.31)―病院遍歴をとりとめもなく振り返る

電子書籍で読んだ。この著者の本では、『医療詐欺』(講談社+α新書)についで2冊目である。 本書を自分の人生の歩みと重ね合わせて、とりとめもなく甦ってくる過去の記憶をなぞりつつ読んだ、こんな風に。 本書では医師の分布の西高東低が主なテーマとなっ…

舊詩帖5

安息の刻 いつしか水槽がひっくりかえり とげとげしかった私の呼吸もおさまった かつては 水面に垢のように脂のういた 胆汁色の水槽の中で 不具な三葉虫 堕胎された悲鳴の断片(きれはし) 血のない蛭 足のもげたむかで が泳ぎ ひずみよどんだ暗緑色の水底か…

舊詩帖4

風景 すがれた野末に ななかまどやにせあかしや 流産した根っ子たち などなど 細くよろめく赫っぽい道 めまい 振り返った顔がひとつ 恐怖に見開いた瞳 みみず と見えた細い流れ 枯草踏んで どこへも行かない 彷徨 朱い夕陽が 車輪のように目眩めく だが鈍い …

新詩帖3

レクイエム 今日も亦 帰宅深夜に及ぶ 情けなきこのなりわい 人の死に絶えしこの時刻に せめて一服の茶をたて 永遠に思いを馳せ フォーレのレクイエムを聴かん 深重なるジュリーニの棒 天使ガブリエルの如き キャスリーン・バトルの歌声 そは果たして人の子な…

舊詩帖3

十一月の海岸 背後に子供らの騒ぎをおいて みつめる前方の佐渡が島に 小っちゃなクレーンが突きささる 私と海の間を 道路だ遮っていて 申し訳程度に車が走り 人が歩く 足元の枯れ草の下には湿った土 陽が翳るとふいに風が冷える 海のざわめきが 私の心臓の鼓…

娘の送別食事会

1ケ月前に帰国していたわが娘が今日(4月1日)再びドイツへ戻るので、昨日女房と3人で送別のため食事をすることになった。 池袋郵便局近くの某店を6時に訪れた。九州を偏愛する娘のために、大分からの直送の鮮魚が食べられるという店を探して前日に予約…

新詩帖2

宇宙についての屁理屈 この頃の宇宙は 無闇に迷走状態にあり 迷走はまた 迷躁 でもあり ときとして 命騒 であったりする まあ どれをとってもしっくりこない 言葉の力も二十世紀も末になれば 太古のそれと比ぶべくもなく 見かけ倒しのシステムに堕してしまっ…