新詩帖2

 

宇宙についての屁理屈

 

この頃の宇宙は

無闇に迷走状態にあり

迷走はまた 迷躁 でもあり

ときとして 命騒 であったりする

まあ どれをとってもしっくりこない

言葉の力も二十世紀も末になれば

太古のそれと比ぶべくもなく  

見かけ倒しのシステムに堕してしまった か

 

宇宙霊が吐き出す妖気が

地球の地べたを這いつくばり

凶悪な擾乱の基となっている

 

エイズ・ウィルス

ポルポト デヴィット・コレッシュ

カリ・カルテル(*)

言葉の力を喪わしめる

ああ カタカナの災厄の群よ

 

地球の岸辺を血の泡沫があらう

それは百兆匹の血の虫のうごめき

どうにも陰惨な地球の夕景色は

鐘の音ひとつ響かず

繁盛の無さは

往時の江戸の町ひとつにも及ばない

まるで渋柿を喰ったあとの淋しさだ

 

やがてビッグバンが

可逆してくる予感が首をもたげる

ー色即是空 空即是色

 自業自得 喝!

 

(*)この詩は25~30年ほど前のものだ。今ならここに、<オウム><アルカイダ><イスラム国><ポコ・ハラム>などが入ってくるだろう。

 

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渺茫たるもの

 

渺茫たるもの

海ー大海原

おおぞらー宙空

砂漠ー砂の惑星

運命ーフルトヴェングラー

煙の如き

うす桃色の

霧雨の如き

渺たる

時空の中の

最もあわきもの

あるか

なきかの・・・

 

悩むことなし

渺茫たる生を