二王子岳(新発田市)の新雪

 3月15日の朝東京を出発して、昼ころ新潟県にあるJR白新線西新発田駅に降り立つと、駅の東側に雪を被った山々が目に飛び込んできた。

 陽に映える山々の真っ白な雪化粧は、明らかに昨日一昨日の夜に降ったばかりの新雪だろう。奥の方には飯豊山地が広がっているが、目の前に迫ってくる山塊は新発田市の「二王子岳」だ。

 標高1,420.1mの二王子岳は「深田クラブ」が選定した日本二百名山の一つである。 

  冠雪した山々は日本人の民族的アイデンティティの象徴(シンボル)でもある。富士山の冠雪を思い起こしてみれば頷けるだろう。

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 管理人は、九州や東京の生活の方が長いが、雪景色を前にすると、生まれてから22年間育った新潟の人間としての遺伝子が騒ぐのだ。そして、大昔の記憶の底に沈んでいるはずの、こんな懐かしい光景を夢想してみる。

 夜遅く人気のない、小雪降りしきる新潟古町通りを当てもなくさまよい歩いている時、遥か遠くに赤提灯の灯かりがちらと見えて、胸にほっと暖かいものがこみ上げてくる。燗酒で熱いおでんを頬張ることを想像して口の中に唾が湧いてくる。赤提灯へ向かう足元で寒さで凍結し始めた雪がきゅっきゅっと鳴る。そして高英男の歌った「雪の降る町を」をそっと口ずさんでみる。雪の降る町=雪の古町、なのだろうか、はてさて。


高英男/雪のふるまちを - YouTube

 この夜は、大学時代の親しい数人の友たちと新潟の酒肴で遅くまで思い出話に耽る。そして新潟の夜は更けていった。