痩せる努力は果てしなく続く、ああ無情!(2)

承前) 

 そもそも小麦を食べない健康法を考えるとき、”グルテンフリー”(無グルテン食)などアメリカで流行している、いわゆる「除外ダイエット」(特定の食品や食品群を排除する食事療法)の一つだということを理解しておこう。

 もともとグルテンフリーは、自己免疫疾患であるセリアック病の唯一の治療法として認知されてきたものである。 

 参考までに、除外ダイエットついて書かれた”ウォール・ストリート・ジャーナルの2014年4月21日の記事(日本版)を下に貼りつけておく。

米国で「除外ダイエット」が流行、食品過敏症の特定にも寄与 - WSJ


  さて、小麦を食べない食生活を始めてからは、毎週1回入浴に訪れる花小金井の「おふろの王様」で体重チェックを続けてきたが、開始してそれほど期間を置かずに体重が減り始め、現在ではほぼ76キロ前後となり、以前より4~5キロ落としている。おかげで腹囲もややスリムになり、30年ほど前のバブルの最盛期にあつらえた古い背広(Scabalやmila schönなど)も着れるようになり、慶賀の至りとなった。

 しかし、76キロが壁となり、どうしてもこれ以上の減量には至らない。

 そうこうするうち、いよいよ小麦断ちをして最初の職場の健康診断が2月3日に行われ、翌々日の5日には血液検査結果が出た。驚くべし、かねてからの注意データは殆ど改善されていなかったのだ。

 いつも不規則・不安定のデータが示されるのは、<GOT><GPT><空腹時血糖><中性脂肪><尿酸>の5つである。


 検診結果データを前回と比較してみる。

       (26.7)(27.2)

AST(GOT)     32     26
ALT(GPT)      42        24
中性脂肪     305    239
空腹時血糖  126      121
尿酸         7.7       7.9

 どうやら、苦労して小麦を食べない生活をしてきたことの顕著な効果は見られない。中性脂肪は前回より少し下がっているものの、威張れるほどの改善ではない。尿酸に至ってはとにかく駄目の一言だ。空腹時血糖も危険水域にある。ただ、GOTとGPTの数値だけは改善されているが。

 検査データについては以前も大体こんな感じで推移してきている。基準より数値は高いものの、 これでずっと大過なく暮らしてこれたし、今さらこの年齢で必死になって健康について考えるのも滑稽な気もするが、まあ病気に縁が遠ければ医療費が節約され、仕事に支障をきたさないという利点はある。

 小麦を食べなくなって良い効果がなかった訳ではない。一つには体重の減少、もう一つは疲労感が少なくなり、昼間の眠気が殆どなくなったことである。あとは、血圧がやや安定してきたことだが、小麦断ちが原因かどうかは不明である。

 体重減については、多分間食をしなくなったことが主な原因であろう。間食(おやつ)は、お歳暮・お中元、あるいは職員が旅行や何やかでしょっちゅう職場で配られるお菓子が主で、ほとんどが小麦入りである。これまでは全部胃袋に入れていたが、今では一切食べない。

 ということは、体重減少は単に小麦断ちの成果ではなく、植物油脂やココアバター、砂糖やクリームや粉乳や卵黄、あるいは膨張剤などの食品添加物のたっぷり入った菓子類を食間に食べなくなった結果とも考えられる。

 この本では小腸のグルテンに対する免疫反応が引き金となるセリアック病について多くのページを割いているが、管理者は、小麦を平気で食べていた頃から、特に腸が悪くなったことはない。小麦(グルテン)を食べるのは、確かにセリアック病の原因であろうが、それは例えば糖類や炭水化物で糖尿病が引き起こされという程度の因果関係でしかないだろう。セリアック病は、遺伝的要因も強いと聞く。

 

 本書では、小麦を食べないで糖尿病が治った例が挙げられているが、管理人に限っては、それでも上記のとおり血糖値は殆ど下がっていない。

 また、小麦食は老化を早めるとあるが、管理人は老齢にもかかわらず、小麦を食べている時から今まで、特に支障なくフル勤務で仕事をしている。12年間同じ職場で働いているが、整形外科に1ケ月入院した以外は、病気が理由で休んだことは一度もない。風邪にもインフルエンザにも食中毒にも縁がない生活を送ってきた。

 心臓病も脳卒中も、徴候らしいものは以前からない。脳もまずは大丈夫だ。(と自分で思っている)

 逆に、唯一悩んでいる手指の皮膚疾患が、小麦を食べないにもかかわらず少しも治っていない。

 つまり小麦を止めても、体重が減ったことと、疲労しにくくなったこと以外は、何の変りもないのである。疲労しにくいというのは、単に運気のバイオリズムなのかもしれない。

 この本のレビューを見ると、劇的に成果の上がった例も見受けられるが、個人差があるのだろうか?

 そもそも何かを食べないことや食べる回数を減らすことが健康のもとであるというコンセプトの本が世間に多く出回っている。かく言う管理人も、ここ1~2年で、以下のような本を読んできた。

3日食べなきゃ、7割治る! 食べない人たち (「不食」が人を健康にする) 主食をやめると健康になる ー 糖質制限食で体質が変わる! 「食べない」健康法 (PHP文庫)

  しかし、日本人全般を考えてみるとき、普通に頓着なく食べていて平均寿命が一貫して伸び続けてきたことは事実である。このような本が売れるのは、自分はどこか健康に不安があると感じる人が増えたせいであろう。健康に不安がある人、ではなく健康に不安があると感じる人、が増えたのである。トレンドとして、テレビや週刊誌が健康や医療に関する不安情報をだだ漏れさせているので、果てしのない健康志向が多くの日本人の脅迫観念となっている。それもこれも医療界や製薬会社、官僚やマスコミの陰謀?と考えるのはうがち過ぎであろうか。

 

 とは言え、小麦を食べない食生活はしばらく続けるつもりだ。少なくとも余計な食品(菓子類など)を食べなくなったし、結果的に糖質制限をすることになり、血糖値対策にもなるかもしれないからだ。

 また、尿酸値の上昇はどうやら他に原因がありそうだ。省みれば、この正月には”数の子”や”いくら”を何の斟酌もなく食べ続けてきた。明太子は今でも好物で、日常的に食べている。尿酸値が上がる訳だ。

 中性脂肪は、それでも若干下がり気味に見えるが、まあ気休め程度でしかない。

 次回の健康診断(7月実施)で、もう一度成果を見て食生活を考え直してみたい。