なんでもあり

  これまで、<はてなダイアリー>で下記の2本のブログを立ち上げていたが、これからは特定のジャンルやテーマにとらわれず、守備範囲の境界線を外して、その時々に思ったことを自由に書いていくことにしたい。つまり<なんでもあり>だ。


 この2つの日記を書き続けるのには、大層骨を折ってきたものだ。例えば読書日記では、取り上げる本は最低3回は読む必要があり、また関連する資料本にも目を通さなければまともな文章は書けない。それらを買い求めたり、図書館で借り出したりで、費用と時間もバカにならない。

 音楽日記では、どうしても演奏の比較が必要で、この僅かな(好みの)差異をことさら言い立てていくマニアックさにはいささか辟易した。こうした演奏比較(大体が主観的な要素による)にはCD購入や資料検索で沢山の時間と金がかかる。

 またそうした批評は、精緻を極めた内容で数多くをweb上で読むことができ、今さら拙いコメントを連ねていっても屋上屋を重ねる結果を招くだけで無駄であると判断した。

 管理者には週に5日の(医療法人での)勤務がある。多忙な日常業務の間を盗んで根をつめて行うブログ更新作業はウィルスもどきで、義務感とも強迫観念ともなって脳内をじわじわと蚕食する。とにかく、時間・体力・脳力のどの面から見てもなかなか辛いものがあった。

 これからは、少し肩肘を緩めて、気ままな日記として書いていきたい。何とぞご寛恕を。とは言え、やはり読書と音楽が中心になるかもしれない。

 

 昨年暮れから正月にかけて、Kindle版『影武者徳川家康』上中下(隆慶一郎)と『警察庁長官を撃った男』(鹿島圭介、新潮文庫)を読んだ。

 前者は、一見荒唐無稽のような設定だが、史実の隙間を考え抜かれた綿密な手捌きで詰め切っていて、全体的として、影武者の存在と活動がいかにもありうると思わせる見事なジグゾーパズルを完成させている。実際に生起した数々の歴史事実の解釈も全く不自然さがない。第一級のエンターテインメント作品である。

 後者では、警察庁長官狙撃事件の真相を探る、驚くべきドキュメントである。かつてこの事件の第一報に接したときの管理者の第一感は、やはりオウム真理教の信者による狙撃ではないか、という強い疑いであった。既にして真犯人(と著者が断言する)中村泰(ひろし)の思惑に見事に嵌まっていたのだ。読んでいて驚きの連続である。

 この事件の真相解明に関し、著者が自ら足で集めた事実の積み重ねをもとに、怒りを込めて剔抉した、組織の思惑と偏見で自縄自縛に陥った公安警察の捜査手法。これこそが、多くの冤罪を生みだす温床となっているのかと、つくずく考えさせられた。まさしく、事実は小説よりも奇なりである。

 

 今、若島正訳の『ロリータ』(ウラジーミル・ナボコフ新潮文庫)を読み始めている。(まだ、ほんの5分の1程度だ)

 以前求めてあった、同じ新潮文庫大久保康雄訳を時々参照しながらの楽しい読書だ。ナボコフの、多重で多彩な、また皮肉とユーモアに富んだ妖しい文章の魔力に魅せられつつある。

 感想は後日に。

 

 なお、プロフィールでの名前のローマ字表記を漢字にあらため、ブログのタイトルとした。ブログ媒体も、<はてなブログ>にしてみた。指示どおり、ブラウザをIEからGoogle Chromeに変えて書くと、今のところ快適である。

 

影武者徳川家康〈上〉 (新潮文庫)

影武者徳川家康〈上〉 (新潮文庫)

 

 

 

影武者徳川家康〈中〉 (新潮文庫)

影武者徳川家康〈中〉 (新潮文庫)

 

 

 

影武者徳川家康〈下〉 (新潮文庫)

影武者徳川家康〈下〉 (新潮文庫)

 

 

 

警察庁長官を撃った男 (新潮文庫)

警察庁長官を撃った男 (新潮文庫)