ブルックナー交響曲第8番を久しぶりに聴く

この数年は、ショスタコーヴィチ、マーラー、シューベルトばかり聴いていて、本来体質的に合うブルックナーから遠ざかっていたが、今日ふと思い立ってブルックナーの第8交響曲を聴いて、感激を新たにした。 初めにシューリヒト/ウィーンフィルを聴き、次い…

映画「ケイン号の叛乱」を観る

この古いが世評の高い映画を初めて観た(イマジカBS 6/4)。重層的で奥行の深い映画だった。傑作である。一気に見通してしまうだけの優れたドラマ性と緊迫感に富んでいた。 ハンフリー・ボガードは無論、軍法会議の弁護士役のホセ・ファーラーもさすがの芸達…

「王将」のリスクマネージメントの欠如

11月3日、久しぶりに餃子を食べに妻と「王将」へ行った。生ビールを頼んで、餃子と他の料理を注文する。そこで店にとって大いに不名誉なことが起きたのだ。 後でIphoneで店の写真を撮っておいたのだが、武士の情けで、写真は掲載しない。支店名も明らかにし…

TVドラマ「模倣犯」を見る

9月21日~22日にTV東京で、宮部みゆき原作の「模倣犯」が放映された。 原作は読んでいないが、ドラマは重層的で面白い仕上がりになっていた。 出演者では、橋爪功の芸達者ぶりが傑出していたが、橋本といえば、30年前(1986年)に放映されたNHKドラマの「海…

メトロポリタン歌劇場の「メリー・ウィドウ」をWOWOWで観る

7月13日、今日は仕事が休みなので、午後1時からWOWOWライブで、メトロポリタンオペラ、レハールの「メリー・ウィドウ」を観た。2015年1月17日にメトロポリタン歌劇場で収録されたものだ。ハンア役のルネ・フレミング女史はそのとき御年55歳(1959年2月14日生…

目の治療をする

期末が近づくにつれ仕事に追われ続け、時間的にも精神的にも余裕がなく、ブログを書く余裕がなかった。久しぶりの更新である。 さて小生も、3月にはいよいよ後期高齢者となり、思いなし身体のあちこちに不具合を感じることが多くなった。 3月9日に清瀬市の某…

「マイナンバー制度」について考える

本年1月の職場の機関紙に、現時点でのマイナンバーに関する考えをまとめたものを掲載した。以下に再掲する。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「マイナンバー制度」考 ビッグ・ブラザーがあなたを見ている ジ…

日本共産党の知的怠惰?

12月8日、TBSラジオの荒川強啓のデイ・キャッチに、日本共産党の志位和夫委員長がゲスト出演していて、車で帰宅する際に最後の方を少しだけ聞いた。 そこで志位委員長は武田一顕記者の質問に答え、①野党共闘は、戦争法案(安保法案)の全廃で一致する必要が…

『高校生からのゲーム理論』松井彰彦著(ちくまプリマー新書、'10.4.10)-隔靴掻痒?

本書は、橘玲氏の『「読まなくてもいい本」の読書案内』のブックガイドで、定番の入門書として推奨されているもので、すぐに書店で買い求めて読了した。ゲーム理論のアウトラインを理解するのに適した書物で、大変解かりやすく、曖昧なところのない良心的な…

「読まなくてもいい本」の読書案内(橘玲、筑摩eブックス、2015.11.25)

この著者については、2002年の『マネーロンダリング』(幻冬舎)を読んで、あまりの面白さに、職場の仲間に押し貸しまでして無理やり読んで貰ったという記憶がある。 、 爾来大変気になる作家で、『臆病者のための株入門』(文春新書)、『大震災の後で人生…

アンドレアス・シュタイアー演奏会へ行く

12月8日、トッパンホール(文京区水道1-3-3)へ、アンドレアス・シュタイアー演奏会を聴きに行く。 プログラムは下記のとおり。 シューベルト「4つの即興曲より、第1番、第2番」 シューマン「幻想小曲集」 シューベルト「樂興の時より、第1番、第2番、第3番…

特定行政書士考査に合格

10月8日にこのブログに書いた「特定行政書士研修」の考査の通知が、5日に届いた。 結果は<合格>ということで、ひとまずほっとした。高齢の故、このところ記憶力も劣化しつつあるのは確かだが、これで何とか一矢を報いた(?)といった感じだ。 もっとも合…

健康診断結果(27年6月29日受診)

2月9日のブログで、下記のとおりの血液検査のデータを示した。 (26.7)(27.2) AST(GOT) 32 26ALT(GPT) 42 24中性脂肪 305 239空腹時血糖 126 121尿酸 7.7 7.9 さて、6月29日に半年振りに健康診断を受けたが、その結果は次のとおりであった。 AST(GOT) 20 AL…

ホワイトクラブ会合と初期の詩

10月13日の午後6時から、N大学の親しい仲間が年に1度久闊を叙すために集まる「ホワイトクラブ」というネーミングの親睦会が開かれた。今年の参加者はやや少なく、8人であった。会員名簿では19名を数えるのに。 今年はN市内の「I軒ホテル」で行われた。大学…

特定行政書士の研修と考査について、ついでに大学時代の授業の思い出

ブログをしばらく更新できなかった。 実は、8月4日から7日まで「特定行政書士法定研修」の講義に参加し、10月4日の考査日に至るまで、行政法の勉強に忙殺され、他の事には全く手が回らなかったのである。 この歳になって、行政手続法、行政不服審査法、行政…

モーツァルトは天才だ!

最近、久しぶりに「ショーシャンクの空に」をJ:COMで観た。 スティーブン・キングの中篇小説『刑務所のリタ・ヘイワース』をフランク・ダラボンが映画化したもので、ティム・ロビンス(アンディ)とモーガン・フリーマン(レッド)が主演した深く心に沁み…

新詩帖6

詩人の肖像 怕ろしいことに 毎朝八時十分前に目覚める 目覚まし時計が喚き立てる直前にだ これが習慣の魔か、単に歳のせいか 朝起きたときすでに 疲労困憊している だが生きることそのものに 飽きたというほどでもない(つまり、自堕落なだけだ) 空(から)…

『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』エマニュエル・トッド(文春新書、'15.5.20)2/2-中国は西欧資本主義の利益計算の道具(?)

(承前) 本書の中心テーマは、世界中で退潮しているアメリカのシステムと新しく勃興してきたドイツ帝国との対立の様相であるが、著者はそのドイツが中国と意思を通じ合わせ始めていると指摘している。 そこで、トッドの中国観について少し触れてみたい。 ト…

『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』エマニュエル・トッド(文春新書、'15.5.20)-新たな<神聖ローマ帝国>の出現か

本書は、アマゾンで購入予約して待ちかねていたもので、5月19日にやっと手元に届いた。エマニュエル・トッドというビッグ・ネームとこの刺激的なタイトルの組み合わせは、この上ない知的興奮を呼び起こす。帰宅後一気に読了した。とにかく、めちゃめちゃ面白…

「ドイツの脱原発がよくわかる本」川口マーン恵美著(草思社、'15.4.22)

日ごろ国内外を跋扈している「反原発」の潮流にどこかうさんくささを感じてた矢先に<日本が見習ってはいけない理由>という副題のついた本書に接し、大いにわが意を得る思いがした。 30年以上ドイツに住んでいるという著者の本は、以前『住んでみたドイツ…

新詩帖5

狂う女の日記 狂ったのだわ、妾(あたし) 魔法の鏡が 千々に砕けて散乱するように 妾の生肝に棲む生暖かい魂蟲が 千々に裂き千切れ飛んだのだわ 今朝の食卓で 砂糖にたかる蟻を集め食べていると 尻の下の古畳の目を抜いて 雨後の筍がニョキニョキと 飛び出…

新詩帖4

白い花 匂う 匂うよ 白い花が ニセアカシアの白い花が 遥かなる記憶の中で 見える 見えるよ 遥かに佐渡が 日本海の没日が その幻が こんなに汚れきる前の 僕の魂の在りようが 故郷の時空の総量が その幻の記憶が 今も僕の胸を狂おしくする さて 今日僕は 桜…

「基本は誰も教えてくれない日本人のための世界のビジネスルール」青木恵子著(ディスカヴァー、'15.2.20)

著者は、故ロッキー青木氏の妻で、「ベニハナ・オブ・トーキョー」の経営者(CEO)である。 今日(4月16日)、ある講習会に出席するため国分寺駅へ赴いたが、駅にやや早めに着いたので、時間つぶしに伊国屋書店国分寺店を覗いた際にこの本と「マッキンゼー流…

「日本の医療格差は9倍」(上昌広著、光文社新書、'15.2.31)―病院遍歴をとりとめもなく振り返る

電子書籍で読んだ。この著者の本では、『医療詐欺』(講談社+α新書)についで2冊目である。 本書を自分の人生の歩みと重ね合わせて、とりとめもなく甦ってくる過去の記憶をなぞりつつ読んだ、こんな風に。 本書では医師の分布の西高東低が主なテーマとなっ…

舊詩帖5

安息の刻 いつしか水槽がひっくりかえり とげとげしかった私の呼吸もおさまった かつては 水面に垢のように脂のういた 胆汁色の水槽の中で 不具な三葉虫 堕胎された悲鳴の断片(きれはし) 血のない蛭 足のもげたむかで が泳ぎ ひずみよどんだ暗緑色の水底か…

舊詩帖4

風景 すがれた野末に ななかまどやにせあかしや 流産した根っ子たち などなど 細くよろめく赫っぽい道 めまい 振り返った顔がひとつ 恐怖に見開いた瞳 みみず と見えた細い流れ 枯草踏んで どこへも行かない 彷徨 朱い夕陽が 車輪のように目眩めく だが鈍い …

新詩帖3

レクイエム 今日も亦 帰宅深夜に及ぶ 情けなきこのなりわい 人の死に絶えしこの時刻に せめて一服の茶をたて 永遠に思いを馳せ フォーレのレクイエムを聴かん 深重なるジュリーニの棒 天使ガブリエルの如き キャスリーン・バトルの歌声 そは果たして人の子な…

舊詩帖3

十一月の海岸 背後に子供らの騒ぎをおいて みつめる前方の佐渡が島に 小っちゃなクレーンが突きささる 私と海の間を 道路だ遮っていて 申し訳程度に車が走り 人が歩く 足元の枯れ草の下には湿った土 陽が翳るとふいに風が冷える 海のざわめきが 私の心臓の鼓…

娘の送別食事会

1ケ月前に帰国していたわが娘が今日(4月1日)再びドイツへ戻るので、昨日女房と3人で送別のため食事をすることになった。 池袋郵便局近くの某店を6時に訪れた。九州を偏愛する娘のために、大分からの直送の鮮魚が食べられるという店を探して前日に予約…

新詩帖2

宇宙についての屁理屈 この頃の宇宙は 無闇に迷走状態にあり 迷走はまた 迷躁 でもあり ときとして 命騒 であったりする まあ どれをとってもしっくりこない 言葉の力も二十世紀も末になれば 太古のそれと比ぶべくもなく 見かけ倒しのシステムに堕してしまっ…